陶芸家 / 磁器彫刻家 / 書画家

藤吉　憲典

伝統の継承を、生きた個性で形にする。

肥前磁器の伝統文化・技術を土台に、用途美を追求する器からオブジェなどの美術作品まで、自分が作りたいと思うものを制作しています。師匠を持たないわたしにとって、古の名品の数々こそが、お手本であり師です。分業があたりまえの磁器制作の世界で、形づくりも絵付もすべて一人で行っています。一人でつくるからこそ実現できる、調和した美しさと力があると信じています。

わたしの軸には、幼少期から習ってきた書道があります。筆の扱いや余白の大切さなど、書を学ぶなかで自然と身についた技芸と視座は、書画などの平面作品はもちろん、陶芸家・磁器彫刻家としての立体作品制作においても、自らの美意識を形にする際の拠り所となっています。

器・彫刻・書画。古典的・普遍的な「美」の価値観に共感しています。美術も工芸も、歴史や基本を大切にしてこそ、独自の表現が生まれ、新しい文化に昇華すると考えます。数百年後にも受け継がれ、愛されるものを作っていきたいと思っています。